【公開日:2021/10/29】
印刷方式は、大きくわけて、4つに分類することができます。
今回はこの「4大印刷」とよばれる、4つの印刷方式の「仕組み」や「特徴」などをイラストと共に、詳しく解説いたします。
平版印刷は、版が平で、水と油の反発を利用した科学的な印刷方法です。
画線部分は親油性、非画線部分が親水性になっていて、版面を水で濡らしながらインキをつけます。
そして版面に着いたインキを、ゴムブランケットと呼ばれるシートに一度転写して、再び転写して紙に印刷します。
現在もっとも幅広く使われている印刷方式で、新聞・書籍などの出版印刷や、カレンダーやポスターなどの商業印刷といった紙への印刷が得意です。
※ちなみに、「オフセット(OFF・SET)」とは、「付けて離す」という意味で、版と紙とが直接触れない技術のことです。そのため、他の印刷方法にもオフセットが存在しますが、一般的にオフセットと言えば、平版オフセット印刷を指します。
凸版印刷は、版に凹凸があり、凸状の部分にインキを付けて紙に押し付ける様に印刷します。そのため、力強い輪郭のシャープな文字を印刷する事ができます。
そして、印鑑やスタンプなどと同じ仕組みなので、身近に触れる機会の多い印刷方法とも言えます。
さらに、凸版印刷は4大印刷方式の中でも最も長い歴史があり、かつては、「活版印刷」が盛んでした。しかし、現在は環境適正の優れた「フレキソ印刷」が主流になっています。
フィルムや布、段ボール、水が使えない下級紙などへの印刷が得意です。
凹版印刷は、版が凸版と同じく凹凸があり、凹状の部分にインキをつめて、紙に印刷します。
主流は「グラビア印刷」で、切手や紙幣には、手工芸的な彫刻、凹版印刷が使われています。
また、凹みの深さで濃淡を表現するため、写真集や美術書などの高品質なカラー表現が得意です。
余談ですが、グラビアアイドルの「グラビア」はこの印刷方法の名残でもあります。
現在では、フレキソ印刷と同じく紙への印刷は少なく、ペットボトル飲料などの軟包装や、壁紙などの建材への印刷に多く使われています。
孔版印刷は、版が印字部分のみ穴があいており、インキが通過する事で印刷されます。
他の刷版(さっぱん)方法と違い、版自体が網状のスクリーンになっており、画線部分の網目にインキを通すため、インキを非常に厚く盛ることがきます。
また、曲面や電気機器の基盤など、液体と空気以外ならなんでも印刷できるので、形状や印刷する素材を選ばないのも特徴です。
上記の4大印刷方式がアナログ的、かつ必ず版がある印刷に対し、デジタル印刷は、製版せずデータをもとに紙にインクをつける印刷方法です。無版印刷ともいいます。
粉体・液体トナー方式(電子写真方式)とインクジェット方式(ノンインパクトプリンター)の2種類があります。
また「オンデマンド印刷」のオンデマンド(On-Demand)という言葉には「要求に応じて」という意味があります。つまり、「必要なときに必要な数だけ印刷することができる」ということです。多品種、小ロット、在庫なしを求められて生まれたシステムとも言えます。
今回の「4つの印刷方式」のお話はいかがでしたでしょうか。
あまり聞き慣れない単語がたくさん出てきたかと思いますが、多少なりとも、印刷の種類やその仕組み・特徴について、知っていただけたら嬉しいです。
※第2弾【オフセット印刷のはじまりと歴史】の記事は、コチラ
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